漫画家になる

今の仕事は辞めない方がいい?辞めるメリット・デメリット

「漫画だけを描いて生きていきたい」

漫画家を目指す中で、そう思ったことがある方も多いのはないでしょうか。そして、こう耳にすることも多いのではないでしょうか。

「今の仕事は辞めない方がいい」

この記事では「本当に仕事は辞めない方がいいのか」そして「辞めない場合のメリット・デメリット」「辞める場合のメリット・デメリット」も合わせて解説していきます。

今の仕事は辞めない方がいい?

まずは一度、自分の中でしっかりと「辞めた場合のメリット/デメリット」及び「辞めない場合のメリット/デメリット」を考えてからにしましょう。

よく耳にする「漫画家専業はオススメしない」「今の仕事は辞めない方がいい」理論が間違っているわけではありません。非常に理にかなっていますし、正解のひとつです。

ただ、その意見はあくまで、その人個人の経験や立場によるものということを頭に置いておいてください。

以下に挙げる 「辞めない場合のメリット・デメリット」「辞める場合のメリット・デメリット」 を参考にしつつ、自分に合う形で折り合いをつけていくことを強くオススメします。

仕事を辞めないメリット

1.定期的な収入があるため、経済的に安定しやすい

漫画家は基本的に、漫画が掲載されないと原稿料が支払われません。印税も単行本が出ない限り発生しません。

原稿料と印税については以下の記事をご参照ください。
>原稿料が発生するタイミングは?支払いはいつ?

コンスタントに連載を続け単行本を発行していかないと、経済面での安定は非常に難しいです。連載は人気がないと長くは続きませんし、例え掲載されたからと言って、必ず単行本が出るというわけでもありません。

この辺りの現実は、仕事を辞める辞めないどちらの場合でも、キチンと念頭に置きましょう。

漫画家としての収入が例えゼロでも、漫画家以外の仕事を続けていれば、当然そちらからの収入があります。定期的な収入は心の安定にも繋がるため、非常に大きなメリットと言えます。

2.人と関わる機会が多い

漫画家は、会社に勤めるよりも人と関わる機会が格段に少ないです。極端な話、担当編集とだけ関わっていれば漫画家としては成立します。

これはさすがに極端すぎますが……。

アシスタントを雇わない漫画家も多く、例えアシスタントを雇ったとしても、今はオンライン上のやり取りで完結することも少なくありません。

いやでも、ちょうど人付き合いに疲れてるし、人と関わる機会が多いのは、むしろデメリットかも。

人と関わる機会が多い=デメリットと感じる人は結構いると思います。ただ一般的な会社勤めだった人が、いざ漫画家のみでとなった場合、想定以上に人と触れ合わなくなったことにビックリする、もしくは予想以上に孤独を感じるといったケースは多いです。

また、人との会話は漫画に役立ちます。何気ない会話の中に漫画のネタのヒントがあったりします。また、情報も集まりやすいです。

ひとりで収集する情報より、複数人から見聞きする情報の方が明らかに多いです。流行も、ネットよりも口コミベースの方が早いことだってあります。

例え情報がデマだったとしてもそれはそれでネタになりますし、色んな人と関わるのはキャラクタ作りの参考にもなります。例えば嫌みな上司がいたとして、もし自分の考えつかないような嫌みを言われたら、嫌みなキャラへの解像度が上がります

よりリアリティのある「嫌みキャラ」が描けるわけです。

嫌みを言われるの普通にイヤだけどね。

それは本当にそう。

3.お仕事あるある・会社あるあるが描きやすい

漫画を描く上で、読者の共感を得るネタは心を掴みやすいため、ウケがいいです。

例えばテレワークやオンライン会議が一般企業でも採用されることが増えた今、過渡期であるからこその「あるある」も存在しています。これを実際に経験しているのとしていないのとでは、リアルティが違います。

ネットの情報や人から聞いた話でも描くことは出来ますが、「細かすぎて伝わらないあるあるネタ」みたいなのは、自身が経験しないと描きづらいです。

お仕事ネタを漫画で描くわけじゃないという場合でも、「お仕事あるある」は活かせます。創作はかけ算です。

例えば「ブラック企業あるある」の知識が豊富だとしたら、「ブラック企業×ファンタジー」というネタを考えてみるのもアリです。「魔王側がブラック企業なのはありきたり過ぎる」「じゃあ勇者側をブラック企業側にしてみる」「魔王側は柔軟にテレワークを導入しているのに、勇者側はいつ何があっても出動する」……みたいに考えることも出来ます。

上記の例も既にありきたりだと思いますが、ファンタジーの世界に現実の「あるある」を組み込むことでギャップが生まれ、笑いを取れます。また、非現実な世界観の中、「あるある」で共感を得ることで、とっつきやすい印象を与えられます。

変わったお仕事をしているなら、なおさら創作に活かせます。そのままお仕事ネタとして描いてもいいし、何かと掛け合わせるのももちろん面白いです。

辞めた後でももちろん描けますが、現在勤めてる場合の「ライブ感」はどうしても損なわれます。

仕事を辞めないデメリット

1.創作する時間が限られる

漫画のみを描いてる場合と、他に仕事をしながら漫画を描いてる場合では、漫画にかけられる時間が明らかに違います。

漫画を描くには「漫画を描く時間」だけでなく、「ネタを考える時間」も必要になってきます。現在の仕事が忙しいという場合、漫画を描く時間以前に、ネタを考える余力がないというケースも。

働いているからこそ出てくるネタもありますが、純粋に時間が取れないという方も多いと思います。

2.人と関わる機会が多い

メリット欄にも書きましたが、人によってはこれはデメリットにもなります。

例えば会社の飲み会ひとつとっても、憂鬱な人はいると思います。漫画家は基本的に「会社の飲み会」的なものは存在しません。法人化していればまた別ですが、個人で仕事をしている漫画家が大多数です。

新年会や忘年会のある出版社もあるにはありますが、多くありません。

そして普通に断りやすいです。

遠方の人もいるからね。

「会社の飲み会」は今でこそ減ってはいますが、今後どうなるかは不透明です。また、漫画家は上司や部下の概念も薄く、そういった人間関係の煩わしさも比例して少ない傾向にあります。

アシスタントをしたことで師弟関係となる漫画家もいますが、こちらも多くはないですし、「上司と部下」という雰囲気とはまた違うと思います。

担当編集との打ち合わせも、感染症対策以前からメールや電話で完結することが多く、毎回顔を合わせて打ち合わせする方が稀です。

仕事を辞めるメリット

1.創作に集中出来る

他に仕事をしているよりも、圧倒的に漫画を描く時間を捻出することが出来ます。「漫画を描く時間」も「ネタを考える時間」も、兼業よりは専業の方が取りやすいのは明らかです。

仕事をする時間や日付も自分で決められるため、休日の調整もしやすくなります。ガッツリと月の前半だけ働いて、後半は連休とする働き方も自身の裁量で調整可能です。場所も、自身の執筆環境にもよりますが、やろうと思えばどこでも出来ます。

極端な話、〆切さえしっかりと守れば、どう働いていても大丈夫なわけです。iPad片手に喫茶店で描く漫画家もいます。

寝ながら描くことも出来るってこと?

環境次第では出来ますね。

もちろん、漫画を描いてる最中や合間にゲームをしててもネットで動画を観ていても、〆切さえしっかりと守れば、問題ないわけです。

〆切に関しては何度でも言うね。

どんな作業環境でも、ここだけは守っていきましょう。

2.最低限の人間関係で済む

仕事を辞めないメリット・デメリットでも既に書きましたが、漫画家は極端な話、担当編集と関わっていれば仕事は成り立ります。

もちろん、これはかなり極端な例ですが、やろうと思えば本当に必要最低限の人間関係で済みます。

黙々とひとりでやっていきたいという方や、仕事上の人間関係がストレスという方には大きなメリットです。

仕事を辞めるデメリット

1.環境によっては孤独を感じやすい

最低限の人間関係で済むことは、同時にデメリットでもあります。

会社に勤めていると、例え何気ない会話だとしても、そこには人との繋がりがあります。これを煩わしく感じる方もいるとは思いますが、意外と馬鹿に出来ません。

一人暮らしであればなおさら、人と話す機会は自分から作っていかないとほぼなくなります。やろうと思えば1ヶ月担当さん以外と喋らない……なんてことも出来てしまいます。

※当ブログの管理人の実体験です。

やばくない……?

これは実際に経験しないとわからない部分があるのですが、しんどい人は本当にしんどいと思います。自分は社会と関わってないのではという孤独感、閉塞感は中々のものです。

作業通話を日常的に行っている漫画家も多いです。これはこの孤独感を払拭するという目的もあります。やろうと思えばひとりきりで出来てしまう環境のため、敢えて人と触れ合う機会を設けることも大事になってきます。

2.収入が安定しない

収入の安定度は、仕事を辞めない方が格段に上です。

既に売れたから辞めたという場合はまた違いますが。

漫画家は原稿料と印税が主な収入源です。原稿料は1ページ辺り○○円のため、描く量によって変わり、その1ページ辺りの原稿料も漫画家によって違います。そもそも、連載がなければ、毎月の掲載及び収入はありません。印税も、単行本が発行されないと発生しません。

無事連載になったとしても、単行本化されないこともあります。そうなれば当然印税は出ません。

人気がなければ打ち切られることも当たり前の世界です。連載が終了すればまた新しいネタを考え、編集部内の会議なりを通らないとなりません。この準備期間は数ヶ月かかることが普通で、即時即座に次の連載とはいかないわけです。

そもそも同じ雑誌でまた描けるかの保証もありません。雑誌が休刊になることもありますし、あまりに人気がなければ次の話にならないこともあります。そうなれば、また別の出版社・雑誌への持ち込みや営業が必要になります。

この準備期間、下手すると年単位です。その間に他の収入がなければ無収入です。

仕事は辞めない方がいいって言われるのも当然だね……。

「自分」はどうするべきかを考えるのが大事

こうして辞める辞めないのメリット・デメリットを見ていくと、やはり「辞めないメリット」の方が客観的に見て理にかなっていると思います。最初の方でも述べましたが、辞めないという選択は正解のひとつです。

ただ、主観で考えるのが大事です。

自分がどこに重きを置くのかをよく考えて判断すること。例えば「最悪収入が数年途切れてもいい。とにかく描いてみたい」と自分が思えるのなら、例え客観的に見て仕事を辞めない方が正しくても、辞めていいと思います。

このブログの管理人は仕事を辞めた側です。
辞める時も非常に悩みました。このまま働いていれば安定するし、合間を縫って漫画を投稿すれば……と考えてから「いや、今までそう思ってても時間が取れなかったじゃないか」と気づきました。

その時の年齢と貯金額を考え、「今しかない。今辞めて、1年がんばってみよう。貯金も、数年無収入でも大丈夫なくらい貯めたし。もしダメだったら、その時改めて働き口を探そう」そう決めて仕事を辞めました。

辞める時も「この年齢で定職に就いてないと再就職は厳しいよ」「20代までは仕事見つかりやすいけど、もし30代になったら全然見つからないよ」と職場関連の人に言われたりもしました。これは事実に基づいた発言だったのでしょう。ただこれは、あくまで「その時の状況」そして「その人の経験と立場」からの発言です

あれから数年。今現在、以前よりもずっと転職も副業も当たり前という世界になっています。年齢に関しても、随分と融通が利くようになったと思います。

そしてこれらも私の「主観」です。つまり、読んでる方にとっては「客観的な意見」ということになります。

「あの人がこう言ったから」「こういう意見を見たから」を決定打にせず、あくまでそれぞれの意見として聞き入れること。そして、それらを自分自身でしっかりと精査し考えた上で、辞める辞めないの判断をすることが大事です

まとめ

この記事では、「今の仕事を辞めない方がいいのか」をテーマに、辞めない場合・辞める場合それぞれのメリット・デメリットを解説いたしました。

仕事はお金、引いては生活や人生に関わるため、非常に悩む問題です。色々な意見を参考にしつつ、自分自身の答えをしっかりと見つけていきましょう。

漫画家の働き方については、まだまだ解説し足りない点があります。この辺りは別途記事でまとめる予定です。

この記事が少しでもお役に立てたのなら幸いです。

当ブログでは引き続き、管理人の経験を元に、漫画家に対する疑問などをお答えしていきたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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